新居浜 その4
四国三大祭がある。
土佐のよさこい祭と徳島の阿波踊りは誰でも知ってるだろう。
残る一つが出てこない。
答えは新居浜の太鼓祭り。
なかなか全国的に知られていないのが残念だ。
(かくいう自分も新居浜に暮らし始めるまで、この祭の存在は知らなかった)
毎年10月に行なわれる。
市内の各地区ごとに自慢の太鼓台と呼ばれる山車を担ぐ。
太鼓台は金糸銀糸をまとった豪華絢爛なもの。重さは3トンほどもある。
この太鼓台を1台あたり150人ほどのかき夫が
「ちょーさーじゃー」、「ちょーせいじゃ」などの掛け声と共に担ぎ、練り歩く。
それぞれの地区がより豪勢なものをと競い合うのが"かきくらべ"。
そして、新居浜太鼓祭りを独特なものにしているのが"鉢合わせ"。
地区ごとに太鼓同士とぶつけ合う荒々しいもの。つまり喧嘩。
荒っぽい祭りといえば、岸和田だんじり祭が思い浮かぶが、
こちらはもはや全国区のブランド。かなり安全管理が行き届いている。
それに引き換え新居浜の太鼓は毎年死傷者が絶えない本当に危険なもの。
祭りの季節になると地元の警察のみならず、愛媛県警がピリピリ厳戒態勢を築く。
隣町の西条市の上品な神輿まつりとは対照的だ。
普段は死んだようなメインストリートに、このときばかりはまちに普段見慣れない若者が集まってくる。さらしに黒の法被姿、オールバック、パンチパーマがごろごろ。
確かに異様な光景だ。
「盆正月は戻らんでも、太鼓のときは新居浜に戻ってくるんよ」とは、このまち出身の元上司の言。
安全第一といいながら、住民の本音では、祭りが荒れてくれないと「おもろない」。
それが証拠に毎年の太鼓祭りを撮影したビデオが地元の制作会社から発売されているが、
死者が出るなどした年の方が売れ行きが良いそうだ。
様々な問題点を抱えながらも、太鼓は新居浜地元民のアイデンティティとして生き続けている。