●泉州さの町場と新旧アートに触れる旅 〜能楽師と行く和泉めぐり
2008年5月3日(土)

陽気というよりは汗ばむほどの熱気となった晴天のもと、参加者17名(招待客含む)、スタッフ・ゲスト6名の総勢23名で泉佐野のウォーキングは始まりました。
今回の道案内人はさの町場を中心に地域活性の活動を続けている染川明義氏、そしてお馴染みの観世流能楽師の山中雅志氏でした。更に特別ゲストに太鼓方能楽師の上田慎也氏も加わって奥の深いものになりました。 ◇蟻通神社

午後1時35分、JR長滝駅より出発。長滝の集落を抜けて蟻通神社へ向います。道々染川氏より町並の説明がありました。
泉州地域の民家の造りは入母屋造りが基本で、屋根の葺き方は「錣(しころ)葺き」と呼ばれる独特のものです。これは屋根の勾配の違う所に段差と隙間があく葺き方で、写真では二段とも瓦葺ですが、昔は上段を藁葺にしている家も多かったようです。
道端に灯篭がありました。かなり風化していますが、これは材質が泉砂岩という、四国山地から和泉山脈にかけて広がる地層から採石される砂岩を用いているからだそうです。
長滝の町並みには他にも古い暖簾の呉服店などもあり、歴史を感じさせました。 15分程で、今回のまち歩きのメインとなる蟻通神社に到着。謡曲「蟻通」の舞台です。境内には紀貫之が神意に触れ、冠を落としたという冠の渕もありますが、神社自体が戦時中に軍用滑走路建設のため、現在地に移転させられたものなので??が付きまといます。
 
 宮司さんのお計らいで、収蔵の三十六歌仙絵馬(紀貫之、小野小町)や百種和歌、それに貫之落馬の様子を描いた掛け軸を見せていただきました。
その後、境内にある舞台で山中師と上田師による「蟻通」の謡の奉納が行なわれました。
 
◇歴史館いずみさの
蟻通神社からタクシーで歴史館いずみさのへ移動。同じエリアには泉の森ホールなどもある泉佐野市の文化ゾーンです。
ここで学芸員の方から館所蔵の能面を拝見しました。新面と呼ばれる製作年代が新しいものですが、それでも明治期ですから100年はたっています。
染川氏からは泉佐野市のパネルの前で日根野庄についての解説が。前関白の九条政基が3年にわたり、領地である日根野庄に滞在してその旅日記を書き付けたことから、中世の村落の暮らし、荘園の運営の様子がわかる貴重な資料となっています。
  ◇ボタニカルアート
 歴史館からさの町場までは再びウォーキング。
南海泉佐野駅前で展開中の「泉州佐野ボタニカルニューボーンアートエキシビジョン」の様子を見ました。駅上商店街のフラワーポットに染川氏が一つ一つ観葉植物の庭園を造りました。どのポットもみな違った庭園が展開されていて道行く人の心を和ませていました。
以前は雑草が生い茂り、ゴミが投げ込まれていたということですが、このようなアート作品が生まれることにより、そういうことはなくなり、以前は路上の状態に関心の薄かった前の店の方が気を使って手入れもするようになってくれたということです。
アートがまちを美しく保つ。芸術の持つ効用を再確認しました。
朝日新聞(5/1)の記事
◇さの町場へ さの町場は佐野浦漁港と主に栄えたまちです。今も当時の面影を残す蔵や町屋が多く残り、狭く曲がりくねった路地が現存しています。路地を抜けるとすぐ漁港があります。
漁港の青空市場では、がっちょ・アナゴといった泉州特産を始め、毎日新鮮な魚介類が売られています。揚げたてのアナゴの天ぷらは絶品です。
まち歩きのラストはこのさの町場を通って能楽の上演が行なわれるふるさと町屋館(旧新川家)へ向います。
長屋の前の植木鉢。少なくなった光景です。さの町場の人は好んで成金草という観葉植物を植えます。ここを本拠とした飯野家・唐金家といった大阪府下でも指折りの豪商にあやかりたい気持ちからでしょうか。
ふるさと町屋館は江戸時代中期、醤油業を営んでいた新川家の屋敷を改造した展示スペースです。また、さの町場と地元商店街の活性化を目的とした様々なイベントが開催されているコミュニティー空間でもあります。
1時間かけて午後5時前にここに着きました。まち歩きはこれで終了です。
 
◇旧新川家で能上演

夕食をはさんで、午後7時からは能の上演でした。 
夕食のメニューは地元商店街より調達しました。津かさ寿しからは佐野浦漁港水揚げのアナゴ、海老、鯖の押し寿司とシャコ。明治元年創業の熊文商店漬け込みの水ナスの浅漬けもつきました。地元の造り酒屋北庄司酒造の吟醸「荘の郷」も絶品でした。冷やし呑むとフルーティーで喉越しがよく、夏季限定品をいち早く飲めるという贅沢を味わいました。またデザートはまつみ玄璽のケーキ大福。フルーツケーキをやさしく包む餅。生地が柔らかく歯ざわりが心地いいです。
能は中庭に設けられた特設舞台で演じられました。演目は本日のテーマ「蟻通」の謡、それに鞍馬山の天狗が牛若丸に武術を教えたという故事に因んだ「鞍馬天狗」です。160人を越える超満員の観客(チケットは完売)は普段見る機会が少ない能を間近で鑑賞できて満足そうでした。
付近には窯場も点在するようで、さのの人が如何に伝統文化に造詣が深いか知りました。
今後もこの場所から様々な文化発信が行なわれることでしょう。それによってまちが活性化することを期待します。

チラシ
泉佐野商業連合会
泉州佐野
ボタニカルニューボーンアートエキシビション
佐野町場活性化研究会
主催:Why
don't you "能" ?
共催協力:泉州佐野にぎわい本舗
企画協力:HUCA・C   
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